SSDに換装したPCで「緊急の障害が検出されました」の表示が出て起動できない

Silicon Power A55

WindowsUpdateの実行後に再起動したところ、BIOSの起動画面でエラーメッセージが出てWindowsが起動しなくなり、データを復旧してほしいいとご依頼いただきました。

PCはHPのProBook 450 G3 2016年ごろのモデルです。企業でたくさん使われており、リース満了の中古品が多数出回っていました。

表示されたエラーメッセージ

POSTエラー
SMARTハードドライブエラー

SMARTハードドライブチェックで、緊急の障害が検出されました。データの損失を防ぐため、コンテンツをすぐにバックアップし、システム診断でハードドライブテストを実行してください。

ハードドライブ1(301)

F2 システム診断
[enter]:起動を続行する

POSTとは”Power-On Self-Test”の略で電源を入れた際の自己診断テストのことです。SMARTとは、”Self-Monitorring Analysis and Reporting Technology” ドライブをリアルタイムで自己診断し、その状態を報告することにより障害を早期発見し、データの喪失を予防する機能のことです。

このメッセージが出て[enter]を押下し、Windowsの起動を試みたそうですが、クルクル回るだけで一向に起動する様子がない状態とのことでした。

裏のカバーを外し、HDDを取り外します。

おや、SSDに交換されていますね。2021年の5月頃に換装したそうです。

実はHDDから乗せ換えたSSDが経年劣化で不良が発生し、Windowsが起動できなくなる事例が多発しています。安価なSSDは使用頻度にもよりますが3~5年程度で寿命が到来し、速度低下を皮切りに、起動不良、認識不良など深刻な症状へと進行します。

搭載されていたSSDはSiliconPower A55 256GBのSATAタイプのSSDです。比較的メジャーなブランドでコスパも良いのですが、やはり5年もしてくると故障が発生してきます。

取り外して中のSSDコントローラーを確認します。SSDは型番やモデル名が一緒でも、中のコントローラーやNANDの構成が大幅に異なることがあるからです。

コントローラーはSilicon MotionのSM2258XT SATAの安価なSSDでよくあるタイプのコントローラーです。NANDメモリはワンチップのみ搭載されています。

診断機に接続して状態を確認してみましょう。

型番もシリアルもファームウェアも容量も正常に認識しています。この4つの値が正しく認識しているのはファームウェア領域に大きな破損がなく、一応SSDのシステムが起動しているというサインです。

ところがログを注目すると、SMART「Contains Drive malfunction flags」(ドライブの故障フラグが含まれています)と表示が出ました。「Uncorrectable Sector count」回復不可能なセクタも発生しています。

セクタイメージの回収を図ります。

スピードが全然出ません。49.7KB/Sです。MBではなくKB、キロバイトです。最高速度は2.1MB/S。とてもSSDの速度ではありません。

ログを見てみると、一定のブロックサイズを読み込んだ後にSSDがBusyとなって応答しない状態となっているようです。そしてインタフェースのリセットを掛けると復帰して読み込み、Busy、リセットを繰り返しています。このような症状は通常のPCではフリーズしてしまうため、DDのようなソフトウェアのイメージャーでは対応できず、専用の復旧機材が威力を発揮します。おそらく水面下でファームウェアが不良セクタを回復しようとして失敗、回復しようとして失敗を何度も繰り返している状況です。

だましだまし無理矢理起動させ続けると、あっという間に不良箇所が拡大し、ファームウェアが保存されている領域にまで広がるとSSDは起動できなくなり電源を入れてもウンともスンとも言わなくなる、即ち文鎮化します。

そうなってしまうとファームウェアが修復できる機種はまだ救出手段は残されていますが、仮に修復できたとしても何日も時間がかかるばかりか復旧機器を何日も専有してしまうため、復旧料金がかなりかさんできます。このため、できるだけ早くご依頼いただくことをお勧めします。

今回は幸いなことに必要なデータはすべて回収可能でした。ご用命いただき、ありがとうございました。

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