基礎から押さえるRAID講座【RAID LAB】
第一回 「RAIDの基本」

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第一部:RAIDの基礎知識

RAIDとは何か?(2)

RAIDの普及

近年のPCの普及にともない、データの重要性も年々その重みを増しています。以前であれば、数人に対してPC一台が割り当てられる程度が普通でしたが、今や一人一台が普通です。それにより、作成されるデータの量も増加し、各個人のノウハウの蓄積もPC上になされる事が多くなりました。
また、これまでは紙ベースや別の媒体で管理されていた共有情報もPCで扱われるようになりました。議事録やホワイトボード、スケジュールの管理や勤怠管理などがそうです。最近では、さらに受発注伝票の発行管理や施設予約、ナレッジ共有なども組み合わせた「グループウェア」に、あらゆる情報が収斂されるケースが増えてきています。このような状況から、作成・管理されるデータの量も以前とは比べものにならないほど大きくなっています。

また、見逃せないのが「内部統制」の開始によるデータの保管ニーズです。基本的に内部統制が義務となるのは大企業だけですが、それ以外の企業にも社会的責任としてデータを保管することが求められつつあります。データ保全の信頼性が求められてきているのです。
このような状況の中、自然とRAIDが普及してきているというのが現状です。

様々なデータが保存されている

RAID対応機器の普及

また、ここ数年で安価にRAIDを構築できる機器が非常に増えてきているという背景もあります。
最近ではサーバー用の機械でも非常に低価格なものがありますが、こういったものにもRAID機能が搭載されています。また、ネットワークに接続するだけでファイルサーバとして使用できるP-NAS(ネットワークHDD)にもRAID機能を搭載したものがあります。さらには、自作PC用のマザーボードにもRAID機能が標準で搭載されるようになってきています。もはやRAID導入に必要な機器は特別なものでは無くなってきているのです。


■RAID機能を内蔵したP-NAS
Buffalo製 外付けHDD I・O DATA製 外付けHDD
Buffalo
TeraStationシリーズ
I・O DATA
LanDisk Teraシリーズ

「手軽さ」に潜む危険

このようにRAIDが手軽に導入できるようになると、「なんとなく」導入してみたくなるのが人情というものです。特に、安価な機器を使用してファイルサーバを構築したり、自作PCを組み立てたりする際に「せっかくRAID機能があるのだから」と考えるのはごく自然な感情でしょう。しかし、よく調べずにRAIDを導入してしまったが故に、かえってデータを失うハメになってしまった例もあるのです。以下に例を挙げます。

【例1】既存のHDDを使用してRAID-0アレイを構築した。

サーバーにHDDを増設、元々使用していたHDDと合わせてRAID-0アレイを構築した所、これまで使用していたデータが全て消えてしまった。

【例2】既存のHDDを使用してRAID-1アレイを構築した。

これまで使用していた自作PCにRAIDカードを増設、元々使用していたHDD2台を使ってRAID-1アレイを構築した所、HDD内のデータが全て消えてしまった。

これらは特に「トラブル」とも言えない、ごく初歩的なミスです。RAIDアレイを構築すれば、過去のデータは消えてしまうのは「仕様」であり、当たり前の事なのです。RAIDに関する基本的な知識があれば防げたはずなのに、「なんとなくこれでいいかな?」と思って実施してしまった事により、結果的に保護したいデータを逆に失う結果となってしまいました。つまり、「手軽」なったからといって決して「安全」なワケではないのです。

「RAIDを導入したから安心」ではない

また、無事RAID環境を構築しても安心はできません。良くあるケースが、RAID-5のトラブルです。RAID-5は最低3台のHDDで構成され、そのうち1台が故障して動かなくなっても残りの2台で通常稼働が可能です。その為、1台のHDDが故障したことに気づかずに運用を続け、2台目のHDD故障によりサーバが停止、そこで初めて障害に気づくといったケースが増えています。

おかしな音には要注意
RAIDの本来の目的は「冗長性の確保」つまり「万一壊れたときに、復旧するまでの猶予期間を得ること」です。むしろ「HDDはいずれ壊れる」事を前提にしているのです。その為、目的に合ったRAIDレベルのシステムを適切な方法で管理し、常に状態を把握して「イザ」というときに適切な対処を取れる体制を整える事が必須なのです。こういった事に配慮せず、RAIDを導入しただけで安心してしまう事が、実は最も危険な事なのです。

きちんと準備をすればOK

さて、RAIDに関して少々ネガティブな事を書いてきましたが、これは全て「安易に」RAIDを導入することに対して注意を促す為です。実際にはRAIDは様々な環境で効果的に運用されている、とても優れた仕組みです。本稿で、RAIDに関する基礎知識を身につけて、きちんと準備をした上で効果的なRAID環境を構築していきましょう。



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