台東区東上野のお得意様より「Windowsのログインパスワードを入力した後に、画面が点滅する。タスクバーも出ずまったく操作ができない」とご相談がありました。早速パソコンをお持ちいただき、診断を行います。

PCはdynabook B65/DPという法人向けモデルです。今やdynabookは東芝ではなく、Dynabook株式会社というシャープの子会社の製品、でもブランドロゴはTOSHIBAという、なんだかややこしい関係になっています。
なにはともあれ、状況を確認します。電源を入れ、パスワードを入力すると、この通り。
動画はパスワードを入力した後の状態です。まずデスクトップの壁紙が表示されますが、タスクバーは出てこないですぐに画面が暗転し、再び壁紙が表示されるという状態が無限にループします。
当初症状をお聞きした際には、ハードウェアの問題かなと思っていましたが、どうもWindowsのシステム系のトラブルのような印象です。タスクマネージャは起動できたので、そこから信頼性モニタを起動します。

やはりExplorer.EXEが再起動を繰り返しています。Explorer.exeはスタートメニューやデスクトップアイコンを表示させる機能を持っており、これが正しく起動しなければデスクトップでの通常操作ができません。
今回のトラブルに至る経緯を伺ってみると、このPCは元々Windows10で使用しており、夏にPCの入れ替えを行う予定があり、Windows11に切り替える予定はなかったものの、何らかの拍子でWindows11のアップグレードが進行してしまい、その後、多少使えていたものの、間もなくこの状態に至ったそうです。
ログを見ると、Windows11のコア部分のアップグレードは成功しているものの、その後に作動したWindows Updateが不整合を起こしている模様です。
お客様のご希望としては、このPCには業務で使用する専用のソフトウェアがインストールされているとのことで、できればOSの再インストール(リカバリ)は避けたいとのご意向です。順序としてまずはWindowsが起動できるように修復を試みる、奏功しない場合は再インストールという方針で作業を進めることとなりました。
このような状態の場合、現状の保全が非常に大切です。Windowsの起動障害の修復は様々な試行錯誤を繰り返しますので、データや設定が消えてしまうことがあるため、必ず現状をバックアップしておきます。焦ってイチかバチかでやってはいけません。

分解し、SSDを取り出し、データ復旧で用いる専用機材でデータを保全します。これで修復作業中にトラブルが発生しても元の状態に確実に戻せるので安心して作業が行えます。
さて、手始めにシステムの復元を行います。
起動時に0(ゼロ、テンキーではダメ)を連打すると起動オプションが表示されます。トラブルシューティングを選択

詳細オプションを選択し、システムの復元を実行します。

正常に完了するものの状況は変わりませんでした。
続いて、最新の機能更新プログラムのアンインストールを試みます。詳細オプションから

「機能更新プログラムをアンインストールする」を実行

「問題が発生したため、Windowsの最新の機能更新プログラムをアンインストールできません。」

回復メニューからはこれ以上やりようがありません。wmicコマンドで問題を一つずつつぶしていくしかないようです。しかし、エラーが出てアンインストールすることができません。

朝から4時間ほど格闘し、ようやく起動に成功しました。

早速この状態でシステムの復元ポイントを作成し、完全なバックアップを作成します。

今回、非常に苦労しましたが、お客様には大変お喜びいただけました。
やはり、このような起動障害は直る場合もあれば、長い時間をかけても直らないことも多く、一般的にはリカバリして再セットアップをお勧めされます。どうしても再セットアップは避けたいという場合、ご相談ください。
この度はご用命いただき、ありがとうございました。