中央区東日本橋のお客様より、BuffaloのNAS LinkStation LS500で「E30 ドライブ1にエラーが発生しました」と表示され、アクセスできなくなった、とデータ復旧をご依頼いただきました。
フロントのラベルは「LS500」と記されていますがこれはシリーズ名。
容量500GB?と誤解されますが、正しくは「LS510D0201」という型番で、容量は2TBです。HDDが1台積まれているものが510、2台のものが520、後ろの数字0201は容量2TB、ちなみに3TBは0301といった具合です。本体裏側のラベルに記されています。
エラーコード E30 は「HDDの故障」を示しています。マニュアルには「ハードディスクを交換してください」とあまり参考にならない説明が記されています。
とにかくHDDを取り出して診断してみましょう。
HDDは東芝のDT01ACA200が搭載されています。
診断機器に接続すると、回転して一応認識します。SMARTを見ると、C5 Current Pending Sector Count 代替保留のセクタが検出されています。
HDDは構造上、不良セクタの発生は避けられないため、HDDのファームウェアは不良セクタが発生した場所はマークして使用させず、別の予備セクタを割り当てる代替処理を水面下で行います。ところが、不良セクタが一度に発生すると、予備セクタへの代替処理が滞り、結果としてHDDは正常に認識しなくなる症状が発生します。
これは、いわゆるCHKDSK等のOS上の処理とは異なるファームウェアレベルでの処理なので、ユーザーは停止させることもできず、HDDはハングアップしたままの状態に至ることがあります。基本的に Current Pending Sector Countが発生したHDDは信頼性がゼロだと思ってください。
通常、不良セクタはチェック機能を定期的に動作させて、メール通知を確認することにより、故障の兆候を察知することができるのですが、このLS500シリーズはメール通知機能がなぜかカットされてしまっています。前のモデルであるLS200シリーズにはあったのですが。
LS500シリーズの後継機であるLS700シリーズには通知機能が復活しています。いずれにせよLS500シリーズは2016年発売のモデルですがら、長いものだと8年経過していますので、水面下で劣化が進んでおり、いつ壊れてもおかしくありません。今動いていたとしても買い替えをお勧めします。
幸い、今回ご依頼いただいたLinkStationは100%データを回収することができました。
ご用命いただきありがとうございました。