渋谷区の企業様より「フロッピーに保存してあったデータが消えてしまった」とご相談がありました。
送っていただいたところ、SONY製の3.5インチ2HD、1.44MBフォーマット済みのカラーフロッピーです。
この外装を見ただけで見当がつきます。これは「軸ズレ」によるものです。
![SONYの3.5インチ2HDカラーフロッピー](https://www.data-sos.com/wp-content/uploads/2024/05/IMG_3629.jpg)
裏側の中心に金属製のハブリングがあります。
![フロッピーの裏面。中心部分にある金属製のものがハブリング](https://www.data-sos.com/wp-content/uploads/2024/05/IMG_3633.jpg)
フロッピーの中身はこのようになっています(ご依頼品ではなくサンプルです)
わかりやすくするために補助線を書いています。
![3.5インチフロッピーの中身。補助線を入れた。](https://www.data-sos.com/wp-content/uploads/2024/05/IMG_3630.jpg)
このようにズレが発生します。わかりやすいように大きくズラしていますが、通常は数ミリに満たないズレです。
![](https://www.data-sos.com/wp-content/uploads/2024/05/IMG_3631-1.jpg)
中心のハブリングとディスクは接着剤により貼りつけられています。
![](https://www.data-sos.com/wp-content/uploads/2024/05/IMG_3632.jpg)
この接着が経年劣化で剥がれたり、位置がズレたりすることにより、フロッピーディスクドライブは基準となる位置がズレてしまいセクタを読めなくなります。
![フロッピーディスクの位置決めメカニズム](https://www.data-sos.com/wp-content/uploads/2024/05/IMG_3634.jpg)
軸ズレが起きるフロッピーディスクで特に多いのが、このSONY製のカラーフロッピーでブルー、グリーン、イエロー、ピンクの4色セットで売られていたものです。このため、見ただけで症状がわかります。接着剤の質が良くなかったのか量が少なかったのかでしょう。
復旧はかなり困難で、一旦ハブリングからディスクを剥がし、場所を探りながら接着しの繰り返しで、すぐに見つかることもあれば、3日かかっても見つからないこともあります。また、記録したデータを長期間保管してあっただけならいいのですが、ズレた後に使用していると最初の基準点とズレたあとの基準点と2か所存在するため、非常にやっかいなことになります。
ご依頼いただいたフロッピーは、昔の会計データが保存されてあったもので無事復旧させることができました。
ご用命いただき誠にありがとうございました。